相続した不動産は売却する納税は?相続税について分かりやすく解説

不動産を相続すると相続税がかかる場合があります。
なるべく節税したいという売却方法はどんなものなのでしょうか。
ここでは不動産の売却は相続の前後どちらがいいのか、また相続後であればいつがいいのかなど、税制面を中心に解説していきたいと思います。

不動産の相続が発生した場合の流れ

不動産を相続したら、役所関係の手続きを含めやらなければいけないことが多く、整理しておくことが求められます。
まずは被相続人の死去から相続税の納付までの流れの概要をご説明します。

死亡届の提出

被相続人の死去に伴い、まずはその死後七日以内に市町村役場に対して死亡届および死体火葬許可申請書の提出が必要です。

遺産分割協議

四九日の法要が終わったら、全ての相続人が集まって遺産分割協議をします。
まずは遺言書の有無を確認して何が相続財産で誰が相続人なのかを決め、相続財産に不動産があれば、不動産の権利証(登記識別情報)が必要になります。
遺言書、および法律に基づいて遺産分割協議を開始し、全員の合意を経て遺産分割協議書を完成させ、全員が署名押印してそれぞれ1部ずつ受領することになります。

名義変更手続き

不動産の相続手続きでは、不動産の所有権移転のための名義書換が必要です。
期限はありませんが、不動産を相続したら早めに法務局で相続登記をするのが良いと思います。

相続税の申告と納付手続

相続税の申告と納税は、相続開始後10ヶ月以内となっています。
また、相続税には軽減措置もあり、配偶者の法定相続分には相続税が課せられなかったり、相続不動産が小規模宅地の場合には土地の評価額が大幅に下がったりするなど、いくつかの優遇がありますので、事前に確認しておくことが肝要です。

不動産の売却は相続前と相続後、どちらが良いのか

相続の対象となる不動産を売却する場合、相続前と相続後でその意味と税金の種類が異なります。
それぞれのケースを見ていきましょう。

名義人が相続前に売却する場合

不動産をお持ちの方が、自分が存命のうちに売却すればそれは現預金に変わり、将来の相続発生時に単に現預金の一部として扱えるという手続きの簡素化には繋がります。
ただし、事前に不動産を売却して利益が生じれば当然ながら譲渡所得として課税対象になることに加え、前述の通り相続不動産の納税であれば軽減措置もあるので注意が必要です。

生前贈与で税金を払う場合

被相続人の生前に不動産の贈与を受けた時は、贈与税が課税され、確定申告の対象となります。
税額の計算式は以下の通りです。

課税価格 = 贈与財産価額 – 110万円(基礎控除)
税額 = 課税価格 × 税率 – 控除額

贈与税の税率は累進課税方式を採用しており、税率は比較的高いものとなっています。
例えば課税価格が4,500万円を越えると税率は55%なのです。
ただし、婚姻期間20年以上の夫婦間において、自宅の土地を贈与する場合には土地の価格2,000万円までは無税という軽減措置があります。

相続後に売却して譲渡所得税を払う場合

不動産を相続人が相続した後に売却した場合は、通常の不動産売却でかかる税金と基本的な考え方は同じで、以下の計算になります。

譲渡所得 = 譲渡価額 – 取得費 – 譲渡費用 – 特別控除額

上記の計算式で譲渡所得を算出し、そこから税額を導くことになります。
ただし、相続した不動産を売却する場合は、その時期によって税額が大きく変わってくる点が通常の不動産売却とは異なります。
その時期の違いについて次の項目で詳しくご説明します。

相続した不動産はいつ売却するべきか

不動産市場があまり動いていないという前提では、不動産は相続後の経過時間によってそのメリットデメリットが様々です。
節税となる特例もあるのでそれぞれご説明します。

相続税の取得費加算の特例

相続した不動産を売却する場合、その時期が「相続税の申告期限である相続開始から10ヶ月後の翌日から3年以内」であれば、相続した不動産にかかる相続税を譲渡所得計算における「取得費」に加算できるという特例があります。
相続した不動産をこの期間内に売却すれば、相続税分だけは節税することができるのです。

所有期間で税率が変わる

不動産を売却したときの譲渡所得は所得税と住民税の対象になりますが、税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって下表のように異なります。
不動産を売った年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になるのです。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

通常の不動産売買によって不動産を取得した場合は、所有期間の起算日はその取得日となりますが、相続や贈与によって不動産を取得した場合は、被相続人や贈与人の取得時期がそのまま引き継がれますので、被相続人がいつ不動産を取得したのかを確認しておくことが税制面からは重要です。

相続した不動産を売却する際の注意点は?

相続した不動産はいつ売却するのが良いのか、その比較をご説明してきましたがここでは他の事情で売却せざるを得なくなった際の注意点についてご説明します。

相続税支払いのために売却する際の注意点

相続税自体が高額となった場合、対象の不動産を売却して得た現金を納税に充当するという場面も想定されます。
その際、相続税の申告納税期限が相続開始後10ヶ月以内なので、売却自体もその時間制限の中で活動することになり、思い通りの価格で売れないことも覚悟しなくてはならないのです。
また、対象不動産の相続人が一人であればいいですが、複数の相続人がいる場合など売却の合意が得られず相続税充当のための資金が作れない場合があります。
相続の協議をすると同時に将来の売却についても相続人の間でよく話し合っておくことが求められます。

行政手続きの注意点

相続した不動産の名義変更手続きも重要な注意点です。
不動産を相続するということはその不動産の所有権を移転させることになります。
すなわち法務局の登記簿における名義を変更する手続きが必要になるわけで、この手続きが相続登記手続きです。
相続登記は義務ではなく期限もありませんが、不動産を売却する際、名義変更が完了していないと売却することができません。
またこの手続きは煩雑なため司法書士事務所に依頼することが多いようですが、個人でやることもできます。
戸籍謄本や遺産分割協議書などその他必要書類を揃えて法務局に申請することで名義変更が完了します。

売却しない場合の注意点

相続した不動産を売却せず、自己居住用として使用したり賃貸に出したりすることもあると思います。
その場合のリスクについて列挙します。
まず、建物の場合当然ながら経年劣化は避けられません。時間が経てば立つほど、その価値は下がり売却するにもできない状態になる可能性があります。
土地であろうと建物であろうと固定資産税は必ず毎年発生する費用です。
賃貸経営は空室リスクや家賃滞納リスクなどがあり、それを回避するにはある程度不動産管理会社に手数料を払う必要があります。

不動産を所有継続して利益を出す家賃収入を得ようとするのは簡単ではないことを認識しておくべきです。

まとめ

不動産を売却するなら相続する前後いつがいいのか、相続後であればいつがいいのかなど、税制面を中心に解説してきました。
不動産売却のタイミングは市場動向も大事ですが、税金を考えた際にはいつ売却すればいくら払わなければいけないのか、その考え方を理解しておくことが重要です。