購入するときも売却するときも重要なアパートローン

アパートローンは不動産投資で重要なキーワードです。

購入するときも売却するときもかなり大事な要素になって来ます。
そして、住宅ローンとは性質が異なっており、ちょっと難しいのです。

不動産業者でさえも、知っている人とそうでない人が分かれるので、賃貸経営をしたい人は、不動産の融資に詳しい人にまずは話を聞くべきです。

例えば、金利が1%で30年間借り入れできた場合と、4%で30年間借り入れしたとき、借り入れ額が5,000万円だと月々の支払いは次のように差が開きます。

1%の場合:約160,000円/月
4%の場合:役238,000円/月

どうでしょうか?
結構な違いですよね。

月でも約8万円、年間にすると約100万円違って来ます。

ここまで顕著に金利の差が開くことはあまりありませんが、つまり金利はそれだけ重要だということです。

低金利、長期間の融資を引くために、まずは概要からしっかり押さえておきましょう。

アパートローンとは

アパートローンとは、その名の通りアパートのためにお金を貸す融資商品です。

Wikipediaには次のように記述されています。

アパートや投資用マンションなど集合住宅一棟あるいは居室(区分所有権)を大家が購入する用途の(商業用)不動産ローンであり、入居者からの家賃収入を主な返済原資とし、完済後は大家の収益に繋がるものである(→賃貸住宅)。貸出条件(貸出額上限、金利、融資掛目、返済年数、団体信用生命保険等)は対象物件や販売形態によって様々であり、審査も一般的な実需ローンよりは比較的厳格と言われている。販売会社との提携ローン方式となっている場合が多く、一部の金融機関では区分所有型ワンルームマンションに限定した住宅ローン商品も提供されている。

出典:Wikipedia

どのような場合によく利用されるかというと、こんなときです。

一棟の土地付きのアパートを購入・建築するとき

新築の方でよく利用されます。
新築は、建物の耐用年数が残っているので担保になるのです。

これが、中古のアパートや一棟マンションの売買になると、途端に審査が厳しくなるのです。

アパートローン審査は住宅ローンより条件が厳しい

住宅ローンと比較して、アパートローンの方が審査が厳しいです。
具体的には、次のようなところ変わって来ます。

  • 返済年数
  • 金利
  • 融資額
  • 自己資金割合

融資年数が住宅ローンより短い

例えば、住宅ローンだと多くの場合35年の返済期間になります。
一方、アパートローンの場合は35年も融資を受けらるケースはほとんどありません。
物件によっては、10年程度しか期間がなかったりします。

期間に関しては耐用年数によって決まるのです。

種別ごとの耐用年数

種別 耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨 19年
鉄骨 34年
RC 47年

ちなみに耐用年数とは、次のような意味です。

耐用年数(たいようねんすう)とは、減価償却資産が利用に耐える年数をいう。長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものの使用又は所有の価値の減価を、各年度に費用配分していく場合の、計算の基礎となる。

出典:Wikipedia

例として、例えば築15年程度経過した鉄骨のアパートがあったとします。

そうすると、耐用年数はその時点で次のような計算になります。

34年 – 15年 = 19年

上記の例では、19年残っているので、最大で19年の融資年数というような考え方になってきます。

融資年数に関しては金融機関によりますが、多くの銀行では、耐用年数もしくは耐用年数に掛目を入れた年数が融資年数になります。

融資審査の仕方

融資の審査方法は銀行によって異なります。

大きく分けて、物件そのものの評価と、借り入れする人の信用力の二つを見ます。

物件に関しては、一般的には、収益還元法や積算法などの方法を複合的に見て審査をします。

収益還元法とは、つまりは賃料収入がどの程度になるのかという基準で評価する方法です。

積算法は言葉で表現がしにくいのですが、土地や建物そのものの価値を数値化するようなイメージです。

積算法(せきさんほう)とは、不動産の新規賃料を求める手法の一つである。本項目においては、基本的に不動産鑑定評価基準による。ここでは、次のとおり定義される。対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額[1]に必要諸経費等を加算して対象不動産の賃料を求める。
対象不動産の基礎価格、期待利回り、及び必要諸経費等の把握を的確に行い得る場合に有効である。この定義のとおり費用性、元本と果実との間の相関関係に着目した手法であり、本来、貸主側の論理、要請に基づくものと言える。

出典:Wikipedia

Wikipediaには少し難しく書いてあって、賃料のことにも触れられていますが、不動産業者や投資家が「積算が出るか」などと話をするときには、多くの場合は原価法のことを指しています。

アパートローンでは、この積算法の方が重要です。

なぜならば、多くの銀行では積算法をベースに融資を決定するからです。

物件の積算価格がある程度高く評価できることに加えて、借り入れする人の資産背景や年収など、総合的に判断して融資を承認するのです。

借り入れする人の年収や勤め先も重要

銀行もお金を貸す商売ですので、貸し倒れは絶対にないように審査します。

そのため、アパートを購入する人の年収や勤め先、保有資産ももちろんチェックします。

アパート経営は、空室や滞納、金利上昇などのリスクによって、アパート自体の収入が減ってしまう可能性があります。

そんな時でも、本収入の方でカバーできるくらいでなければ、貸し倒れのリスクがあるので融資を受けることができません。

そのため、収入の証明として源泉徴収票や確定申告書、預金通帳の原本などを審査時に提出する必要があります。

金利は金融機関によって様々

金利は物件や金融機関、さらに借り入れする人によって様々です。

とはいっても、アパートローンの場合は低くても2%くらいで上に行くと4%以上もあります。

基本的に、属性がいい人(高収入など)は金利が少なくなるケースが多く、逆に資産背景が潤沢とは言えない人は、高金利になる傾向があります。

なぜかというと、これも銀行のリスクヘッジで、金利を高くして先にできるだけお金を回収しておくことで、何年後かに貸し倒れになったとしても、しっかり貸した分は戻ってくるようにしておくのです。

また、長期間の融資になれば高金利になる傾向もあったりします。

メガバンクと信金、地銀はどれがいいのか

一概にどれがいいとも言えませんが、アパートローンの場合は信金や地銀との取引がメインになると思います。

傾向として、メガバンクは金利が低い場合が多いのですが、審査は相当厳しいです。

かなり高属性の人や、物件自体も都心部で築が浅めの物件でないとなかなか融資はできません。

一方、信金や地銀は、その地域に住んでいる人で、なおかつ物件も営業エリア内にあるということの縛りはありますが、不動産投資をやっていくには、なくてはならない存在です。

丁寧に対応し、パイプを持っておくことが重要です。

ネット銀行も不動産投資向けのローンがあるのか

ネット銀行でも不動産を担保にしたローンはいくつかあります。

不動産投資のためのローンというわけではありませんが、資金使途自由のケースもありますので、不動産投資のために利用することもできるでしょう。

住信SBIネット銀行

資金使途は自由で、2.95%〜8.9%の金利です。(2019年3月時点)

借り入れは300万円〜1億円で、最長25年の融資が可能です。

住信SBIネット銀行

 

他にも、区分のワンルームマンション投資であれば、イオン銀行や楽天銀行が利用されるケースもあります。

アパートローンを取り扱っている銀行一覧

多くの銀行ではアパートローンを商品として取り扱っていますが、中でもよく利用されている有名な金融機関や、対応エリアが幅広く、使いやすいところを紹介していきます。

※2019年3月時点のもので、時期によって融資商品は変わりますのでご注意ください。

オリックス銀行

賃貸を目的とした投資用不動産のご購入、お借りかえなどに幅広くご利用いただけるローンです。
マンション一室からアパート一棟まで、新築建物から築年の古い建物まで、さまざまな不動産投資ニーズにお応えします。
借入金額は1,000万円から2億円以内。不動産の購入価格または建築価格の範囲内で、原則、当社評価額の範囲内といたします。
借入期間は最長35年。お借りかえの場合でも、ローン残存期間にかかわらず最長35年で検討いたします。(ただし年齢等による制限はあります。)
借入対象不動産の所在地は、原則、首都圏、近畿圏、名古屋市、福岡市に限らせていただきます。借入対象不動産については当社所定の要件があります。

都心部ではよく利用されるローンです。

ただし、RCの耐用年数は長めに見てくれるものの、木造アパートなどは耐用年数が短く長期融資ができませんので、マンションや築浅の物件によく使われます。

静岡銀行

(1)年齢
融資申込時ならびに融資実行時の年齢が満 20 歳以上 70 歳以下、かつ最終返済時の年齢が満 76 歳未満の方
(2)年収および勤続年数
安定継続した本人年収が 100 万円以上あり(今後も見込まれ)、同一勤務先に 3 年以上
勤務、または同一事業に 3 年以上従事されている方
(3)生命保険 団体信用生命保険に加入が認められる方(保険料は当行が負担します)
4.融資期間 35 年以内(月単位)
5.融資金額 原則、1億円以内(10 万円単位)

出典:静岡銀行商品概要説明書

こちらも都心部中心の融資になりますが、土地の評価を重要視する評価方法で、築古の木造アパートなどでも融資可能です。
ある程度本業の年収がある方に対象を絞っており、本業の余剰金で不動産投資をしたい人に向けての融資商品のようです。

横浜幸銀信用組合

資金使途 不動産購入および改装資金、他行肩代り資金(不動産購入資金)
(オフィスビル・商業ビル・マンション・アパート・戸建住宅等の収益不動産)
※遵法性に懸念のない不動産が対象
融資期間 最長30年以内
耐用年数から総合的に判断させていただきます
金利 1.80%~3.80%
お借入利率は審査により決定させていただきます。

出典:横浜幸銀信用組合HPより

横浜幸銀信用組合は、横浜と名前がつくものの、かなり広いエリアに店舗があるため、物件の購入範囲がかなり広くなることが特徴的です。

関東、北関東、甲信越にもある他、九州にまで支店があります。

三井住友トラストL&F

ここ最近もっとも名前を聞く金融機関ではないでしょうか。

金利は3.9%と高いものの、長期融資ができることと、対象エリアも幅広いことが特徴です。

こちらも、土地の評価を重点的に見ているようで、耐用年数超過のアパートでも融資の対象に入ってきます。

参照:三井住友トラストL&F

 

まとめ

ここに書いている以外でも、不動産投資のローンについてはたくさんの情報があります。

購入するときはもちろんのこと、売却するときも融資の知識がなければ、いくらで売れるのかがわからないため売却できません。

アパート売却のことは、代々木不動産が融資情報を熟知していますので、ぜひご相談ください。

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