住宅を売るとき・買うときの仲介手数料はどうやって計算するの?
不動産を売却するときの仲介手数料は基本的に上限が決まっているので、簡単に計算することができます。
マンションや一戸建ての不動産を売却する際、基本的には不動産仲介業者にお願いしてWebサイトで売却情報を掲載したり、紙媒体の広告を出したりして売却活動を進めます。
実際に購入者が決まり各種手続きを取り仕切るのも不動産仲介業者です。
そのような活動に対して払うのが不動産仲介手数料ですが、これは売却が決まらない限り発生はしません。
実際に売却となった場合、仲介業者への成功報酬として、その売却価格を基に決まる仲介手数料とその計算方法について、以下に解説していきたいと思います。
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仲介手数料の仕組みは?
仲介手数料はどのように算出されるのでしょうか。
法規制でどう定められているのかも含め、ここでは一般的な手数料計算について解説します。
仲介手数料の計算式はこうなっている
売買する不動産が400万円を超えるケースは多いと思います。
売買価格が400万円を超える場合、以下の計算式で算出したものが法的上限となっています。
不動産仲介手数料は消費税の課税対象となることにもご注意ください。
売買価格が5000万円とすると、仲介手数料は・・
売買価格が5000万円とすると、仲介手数料は・・・
(5000万円×3%+6万円)×1.08(消費税8%とする)=168万4800円
仲介手数料支払いのタイミング
支払いタイミングは会社によって様々です。
タイミングは主に2パターンありますので気をつけてください。
- 「売買契約」が成立した時と「引き渡し」が完了した時にそれぞれ50%支払う
- 「引き渡し」が完了したときに100%支払う
仲介手数料は売買契約が成立した時に支払います。
契約締結時点では物件の引き渡しが完了していないことがほとんどのため、大手不動産企業では売買契約を結んだ時に50%を支払い、物件引き渡し時に残りの50%を支払うことが通例です。
このタイミングについては事前に不動産仲介業者に確認しておきましょう。
仲介手数料は上限が決まっている
上記の仲介手数料の計算式は法規制を基に簡便方式で表示したもので、正確には国土交通省によって定められた「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 」に基づいてその上限が決まっています。
この法規制により、不動産仲介業者が受け取ることのできる仲介手数料には上限額があり、これを超える仲介手数料の場合は法令違反となります。
報酬額上限にかかる簡便計算式は以下の通りです。
売買価格 | 報酬額(税抜き) |
200万円以下 | 取引額の5% |
200万円超400万円以下 | 取引額の4%+2万円 |
400万円超 | 取引額の3%+6万円 |
空家の売買には仲介手数料が異なる
2018年1月1日より、上記の手数料体系が一部変更となりました。
ただし、これは売主側だけの変更であり、買主側には影響がありません。
売買価格が400万円以下の場合の仲介手数料の上限金額が一律18万円以内に変更されたのです。
これは、低廉な空き家等を売却する場合、不動産仲介業者が得る仲介手数料が少ない一方で人件費やその他経費が嵩み、赤字になるなら仲介活動はしないという問題を回避するためのものです。
仲介手数料の割引を交渉するにはどうすればいいのか
上限が決められている仲介手数料ですが、不動産仲介業者によってその金額は同じではありません。
ここではその割引の可能性などについてご説明したいと思います。
仲介手数料の割引はあるのか
ずばり、仲介手数料の割引はあります。
不動産仲介業者も同業他社間の競争が非常に激しい世界です。
どのような場合に割引が可能になるのか、以下にその代表例を記載します。
両手仲介の場合
一つの不動産仲介業者が買い手、売り手共に仲介する立場にある場合、買い手側から通常の手数料を受け取ることが決まっていれば、売り手側の手数料を割り引く場合があります。
例えば半額程度に割り引いても、買い手側手数料と合わせて相当程度の利益を確定することができるからです。
ただし、これは大手不動産業者では難しいことが多いようです。
専任媒介契約の場合
専任媒介契約にすれば仲介手数料が値引かれることもあります。
売買契約には一般媒介契約(複数の不動産仲介業者と契約)と専任媒介契約(一社のみとの契約)がありますが、不動産仲介業者も専任媒介となれば、売却活動にかかる経費が、他社で売却が決まったために無駄になることもなく、従って手数料を割り引くインセンティブにも繋がる訳です。
紹介の場合
既存顧客からの紹介制度もあります。同じ不動産仲介業者で売却または購入を経験した人からの紹介で売買媒介契約を結ぶ場合なども、ある程度の割引キャンペーンなどが見受けられます。
ただし、数万円程度の固定額の割引や、引越し業者の安価紹介など少額の割引または同じ効果をもたらすサービスが多いようです。
仲介手数料ゼロで売却が可能なのか
仲介手数料をゼロにすることも場合によっては可能です。
前述の、一つの不動産仲介業者が買い手、売り手両方の仲介の立場にあり、さらに専任媒介契約を結んでいるような場合は、売り手側または買い手側に対して仲介手数料ゼロで契約してくれるところも増えています。
ただし、これも大手業者には期待できないと思った方がいいでしょう。
仲介手数料以外にかかる費用
ここまで不動産売却における仲介手数料について解説してきましたが、ここではそれ以外の手数料にはどんなものがあり、どれくらいの費用がかかるのか簡単にご説明します。
印紙税
印紙税とは売買契約書に貼る印紙のことで、売買契約書記載の売買価格によって決められ、印紙を貼ることによって納税したことになります。
売買価格が1000万円超5000万円以下の場合は1万円、5000万円超1億円以下の場合は3万円となっています。
抵当権抹消登記費用
抵当権を抹消する登記費用が必要となります。
司法書士への報酬などで2万~3万円かかると思っていいでしょう。
引越代
忘れてはならないのが引越し代です。
昨今は引越し業者の競争も激しく、交渉次第では割引も多く見られますが、やはり10万円単位の出費である以上、不動産売却時には留意が必要です。
その他
また、不動産の売却時には廃棄物の処分や、部屋のクリーニング費用なども無視できません。
クリーニング代は業者にもよりますが、概して1㎡につき1万円程度という相場になっています。
譲渡税
不動産を譲渡して利益が出た場合、その利益を譲渡所得として所得税(国税)・住民税(地方税)を納めなければなりません。
譲渡所得(譲渡価格-(取得費+売却費用))に対する税金は「分離課税」であり、税率は物件の所有期間によって異なります。
短期(5年以内)の場合、所得税・住民税合計で39.63%、長期(5年超)の場合は合計で20.315%となっています。
譲渡税の計算はこちらの記事もおすすめです。
不動産を売ったときの「売却益」と「譲渡所得」。税金計算の方法も
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まとめ
不動産売却において発生する費用のうち、その中心となる仲介手数料について解説してきました。
仲介手数料には法規制があり上限が定められていることは意外と知らない方が多いですが、この上限を知った上で提示される仲介手数料を自らも計算・吟味し、適切な数値であることを確認することが肝要です。
そして、競争激化する不動産仲介業界にあって、手数料の割引の可能性を探りつつ売買契約にかかる交渉をしていくことが最終的な売却成功に繋がるのではないでしょうか。
ここで解説した情報で少しでもお役に立てれば幸いです。