マンションを購入した後に売却した場合には税金が発生する可能性があるため、申告が必要となります。
これは、不動産売却によって発生した譲渡所得に対して税金がかかるためであり、所定の申告書や必要な書類の準備をしなければなりません。
しかし、確定申告に慣れていなければ手間取ってしまい、ミスも多くなります。
そのため、税理士事務所に相談するのがおすすめです。

マンション売却時は利益が無くても確定申告を

マンションに限らず、不動産を売却した際には売却益の有無に関わらず確定申告をすべきです。
なぜなら、大きな金額が動く不動産売買は税務署もチェックしており、税務調査を受けることがあるからです。
このような事態を避けるためにも、確定申告は必要です。

「不動産売却後の確定申告」を税理士に依頼する費用について

確定申告書の作成や提出する資料は専門的な内容が多く、不備があると手続きに時間がかかってしまいます。
そのため、確定申告は税理士に依頼するのがおすすめです。
この書では税理士に依頼する際の報酬について、必要相場を解説します。

税理士に支払う費用の相場

税理士相場センターによると、税理士に確定申告を依頼するケースは単発での依頼になることから、10万円〜15万円が相場となるそうです。
ただし、この相場は自分でデータを入力した場合や経費となる領収書をまとめているかどうかでも異なるため、詳しくは最寄りの税理士事務所に確認することがおすすめです。

特別控除を適用した場合の費用の相場

特別控除とは青色申告をすることで不動産取得を控除できるという特例のことで、白色申告よりも大きな節税効果を生み出すことができます。

しかし、こうした特例は正しく確定申告しなければ適用させることができないため、控除を受けられない事業主も多いです。
このような失敗を防ぐことができるという意味で、税理士への依頼はメリットがあります。
なお、この場合は1万円〜3万円の追加費用が発生するのが相場です。

不動産売却後の確定申告を税理士に依頼するまでの流れ

不動産を売却後、確定申告を税理士に依頼する場合は次のような流れを押さえておく必要があります。

お願いする依頼の時期

確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に実施する必要がありますが、確定させる所得は1月1日から12月31日までの合計となります。
つまり、慌てて依頼しないためには12月上旬に依頼し、必要書類をまとめておくのがポイントです。

申告内容の確認

青色申告や白色申告、損益通算や繰越控除など申告内容によって書類と記載方法が異なります。
それによって税理士の依頼内容も変わるため、なるべくどのような控除を受けられるのかを調べておくことが重要です。
ただし、書類作成についてどうしても分からない場合は書類を全て準備し、一から相談することでミスを防ぐことができます。

申告書や資料などの返却、報酬の支払い

確定申告が完了した時点で税理士事務所から請求書が発行されるため、このタイミングで報酬を支払います。
その際には不動産売買契約書や領収書といった書類を返却してもらう必要があります。
なぜなら、これらの書類は確定申告という意味では不要となるものの、直後に贈与や相続が発生した場合にはスポットで必要となる可能性があるからです。
そのため、万が一こういった事態になってから慌てて返還請求することがないよう、事前に返還を受けておくのがポイントです。

税理士に依頼した時のメリット

税理士に確定申告を依頼することで、次のようなメリットを受けることができます。
これからマンションを売却する予定があるオーナーは、参考にしてください。

自分でやる際にかすかに残る不安が解消される

e-Taxやマイナンバーの普及によって確定申告は個人でも簡単に行えるようになりましたが、内容が簡略化されたわけではありません。
そのため不動産所得や所得税、住民税に対する正しい知識は変わらず必要となることから、申告後に不安を感じることも少なくありません。
その点、税理士は国税庁から発表される最新の節税ルールにも詳しく、安心して任せられるという点がメリットとなります。

本業への負担がかからない

確定申告の時期は多くの領収書を整理することになるため、本業に支障がでてしまうこともあります。
このようなリスクを避けるためにも、経費計上する項目が多い年だけでも税理士に依頼するべきといえます。

税務署調査が入った際、相談や対処をしてくれる

不動産投資を継続していると税務署から調査が入ることがあり、税理士に依頼することで調査の面談に対応する時間や作業を削減することができます。
また、税務間との応対についても一般人であるオーナーよりも手際よく対処できることから、マンション売却の経験が何度かあるオーナーにおすすめです。

税理士を利用する際の手順と注意点

税理士に納税に関する相談や書類作成を依頼するメリットは多いですが、デメリットや注意点もあります。
また、税理士を利用する前に必要なステップもあり、この章で詳しく解説します。

税理士の選び方

信頼できる税理士を選ぶ上でおすすめなのが、確定申告を依頼した知人や家族から紹介を受けるという方法です。
税理士という仕事は大手でない限りは単発での依頼が多く、縁故を大事にする業種といえます。
そのため、クライアントから紹介された顧客は丁寧に対応してくれる可能性が高くなることから、まずは税理士の知り合いがいないかを確認することが重要です。
また、知り合いがいなくとも税理士紹介センターなどの無料紹介サービスを利用することで、スムーズに税理士選びを進めることができます。

必要書類を集めておく

不動産売買契約書や領収書などは譲渡所得税の計算に必要となることから、必ず用意しておくべきです。
なお、税理士に依頼する際に必要な書類については、マイホームか投資物件かによって次のように異なります。
そのため、用意し忘れがないよう事前にチェックしておくことをおすすめします。

マイホームと投資用物件に共通している書類不動産売買契約書
取得時に支払った領収書
売却時に支払った領収書
投資用物件のみ減価償却対象の項目
レントロール
経費計上すべき項目の領収書

相談料を別会計にしてもらう

税理士へ支払う報酬は「相談料」と「書類作成料」に分けてもらうのがポイントです。
なぜなら、相談料については経費計上することで不動産所得を下げることができるからです。
こうした細かい工夫を重ねることで、節税することができます。

データ入力は予めしておく

データ入力は自分でもできる作業である一方、税理士に依頼すると費用がかかってしまいます。
また、こうした作業は確定申告時にまとめてするのではなく、月締めで実施することで工数を下げることができます。
このことからも、作業工数と費用面からデータ入力は予めしておくべきです。

自分で確定申告を行う場合の手順と注意点

税理士を利用せず、自分で確定申告を行うことも可能です。
たとえばマイホームのマンションを1度だけ売却する場合などは準備する書類も少なく、税理士への報酬を削減できることから自分で申告するオーナーも多いです。
そこで、この章では自分でかくて申告を行う場合の手順と注意点について、解説します。

譲渡所得が計算できれば自分で確定申告できる

マンションを売却し確定申告を行う際の重要なポイントとして、譲渡所得の計算があります。
この所得は譲渡所得税を算出する際のベースとなる課税額のことで、正しく計算することで税理士を使わず確定申告することができます。
なお、譲渡所得税は次の計算式によって計算できます。
(売却価格-取得費-売却にかかった費用)×税率

譲渡所得の計算

譲渡所得とは課税額のことで、マンションを売却することで得た売却益が対象となります。
たとえば3,000万円で購入したマンションを5,000万円で売却した場合、諸費用が共に200万円かかった条件であれば次のような課税額になります。
5,000万円-(3,000万円+200万円)-200万円=1,600万円
上記の課税額に対し、税率を掛け合わせることで譲渡所得税を計算することができます。

譲渡所得税の計算

譲渡所得税における税率は所有年数によって異なり、5年以内では39.63%、5年を超えると20.315%となります。
つまり、前述した例では課税額が1,600万円となったため譲渡所得税は次のようになります。
所有期間が5年以内:1,600万円×39.63%=約634万円
所有期間が5年を超える:1,600万円×20.315%=約325万円
このように、所有期間によって大きく納税額が変動することから、注意が必要です。

各種特例の適用について

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」などは国税庁から公開されている特例の中でも、マンション売却時に利用しやすいとされています。
そのため、利用できるかどうかは売却前に不動産会社に相談し、把握すべきです。
なお、各種特例については次のような特徴があります。

各種特例特徴
3,000万円特別控除居住用財産を親族以外に売却することで、譲渡所得課税額から3,000万円を控除することができる。
マイホームを売った時の軽減税率所有期間が10年を超える場合、課税額が6,000万円以下の場合は税率を10%にすることができる。
また、6,000万円を超える部分についても超えた課税額に対して15%+600万円となる。

まとめ

マンションを売却した際には様々な特例を受けられることから、確定申告は必須です。
しかし、個人事業主ではなくサラリーマンが確定申告するのは慣れていないケースも多く、やり直しの工数や資料の準備漏れなどが起きやすいです。
そこで、税理士に資料作成を依頼することで確実に確定申告することができ、こうした作業工数を減らすことができます。
このことからも、マンション売却後に確定申告する際には、税理士の利用がおすすめです。