不動産売却において土地は戸建てやマンションよりも難しく、販売のノウハウを多く所有している不動産仲介業者でなければ販売が長期化してしまうこともあります。
なぜなら土地の購入を検討している買い手は注文住宅を建てるためか投資目的となっており、戸建てやマンションよりも少ないからです。
また前面道路の幅や隣地との高低差によっては建築ができないケースも多く、土地によっては販売を断る業者もいます。
土地の売却にはこのような注意点があることから、売却実績が多く適切な売り出し価格を設定してくれる不動産会社を見つけることが大切です。
この記事では土地売却における仲介不動産会社の選び方と注意点について、解説します。
土地売却に強い会社のランキングも紹介しますので、これから所有している土地を売却する予定のある人は参考にしてください。

土地売却の不動産仲介会社ランキング

この章ではオリコン株式会社が公開している「実際にサービスを利用したユーザー2,896名が選んだ不動産仲介売却土地ランキング」をベースに、上位10社を紹介します。
参考サイト:最新 おすすめの不動産仲介 売却 土地ランキング オリコン顧客満足度調査

順位会社名点数
1三井のリハウス77.5
2積水ハウス不動産グループ77.0
3東急リバブル76.9
4三井住友トラスト不動産76.3
5住友不動産販売76.2
6センチュリー2175.2
6ハウスドゥ75.2

不動産売却の取扱高・仲介件数ランキング

この章では公益財団法人不動産流通推進センターが公開しているデータを基に、不動産売却の取扱高上位10社を紹介します。
参考:2022 不動産業統計集 3不動産流通

順位会社名取扱高(百万円)仲介件数手数料収入(百万円)店舗数
1三井不動産 リアルティグループ1,892,66541,18390,120291
2東急リバブル1,577,99528,75071,540199
3住友不動産販売1,453,38738,14471,278256
4野村不動産 ソリューションズ964,88210,08139,83394
5三井住友 トラスト不動産550,3668,22622,92871
6三菱UFJ不動産販売450,1684,65219,00335
7みずほ不動産販売428,6103,97817,76749
8オープンハウス362,4308,26815,05162
9積水ハウス 不動産グループ287,8767,97312,684115
10東宝ハウス グループ226,9966,21710,86519

土地売却の仲介不動産会社を選ぶポイント

仲介で土地を売却するためには不動産会社に査定を依頼し、査定額をベースに売却価格を設定しなければなりません。
しかし土地を何度も売却した経験がある売主でない限り最適な価格と売却プランを考えることは難しく、不動産会社に任せっきりになるのが現実です。
つまり、土地の売却を成功させるためには不動産会社の選定ポイントを知っておくことが重要だといえます。
この章では不動産会社の見極めポイントについて、詳しく解説します。

売却実績数

土地を有効活用するためには様々な法令を確認する必要があり、売却実績数が多い会社であれば適法な提案をより多く準備することができます。

また、土地が「市街化区域」に属しているのか「市街化調整区域」に属しているのかでも候補の不動産会社が変わることも知っておくべきポイントです。
これらの区域は都市計画法に基づいて指定される都市計画区域となっており、土地の状況によっては建築できる建物が制限されたり再建築ができないというケースもあります。
そのためまずは売却予定の土地が属しているエリアを調べ、そのうえで最適な不動産会社に相談することをおすすめします。

都市部の市街化区域で用途地域が住居系なら大手がおすすめ

市街化区域は「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義されており、その中でも住居系と呼ばれる区域は注文住宅を建てる土地に向いてます。
こうした土地を探している買い手は大手不動産会社に会員登録したり来店する傾向にあります。大手不動産会社はこうした顧客ストックが多いことから、早期売却が期待できます。

市街化調整区域などは地元で実績のある不動産会社がおすすめ

市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」と定義されており、原則建物の建築はできません。
そのため駐車場や資材置き場といった用途でしか活用できず、住宅用地を検討している買い手はターゲットから外れることになります。
非常に売却が難しいことから、市街化調整区域にある土地は地元で実績のある中小不動産会社に依頼するのがおすすめです。
ただし、市街化調整区域であっても「旧住造法」や「審査会基準」の特例を満たした土地であれば建築可能なケースもあるため、不動産会社にまずは調べてもらうのがポイントといえます。

評判や口コミは良いか

SNSや口コミサイト、Googleなどで不動産会社の評判を調べることができ、査定を依頼する前には必ずチェックしておくべきといえます。
過去に不動産会社を利用した売主の評価を確認することで注意点や確認すべきポイントを事前に把握することができ、業者選びで失敗するリスクを下げることができます。
特に担当者の評判が悪い会社は社員教育が不十分な可能性があるため、注意が必要です。

査定額に根拠があるか

不動産会社が提示する査定額は成約事例や公開されている類似物件をベースに算出するため、似たようなラインになります。
しかし中には担当者が知識不足で説明ができなかったり適当な査定額を提示されるケースもあるため、査定額の根拠は必ず説明してもらう必要があります。
不動産の知識がない売主であっても理解できるよう丁寧に説明してくれる営業担当は、信頼できるといえます。

担当者の対応が丁寧か

営業担当者は会社を代表して対応しているため、担当者の評価で売却を任せる不動産会社が決まるといっても過言ではありません。
査定時の説明は勿論ですが、売却プランの多さや返信スピードなど、気持ちよく売却を進めてくれるかどうか見極める必要があります。
大手不動産会社は2人1組で担当し、対応に遅れが出ないようにしていることもあります。
また、売却後の確定申告や納税方法など幅広く説明してくれる担当者は、信頼できるといえます。

選んではいけない土地売却の仲介不動産会社

不動産会社選びに失敗して土地の売却が長引いてしまうと固定資産税などの維持費がかかってしまい、草むしりも売れるまで続けなければなりません。
また、古家付き土地の場合は空き家になってから3年以内、更地にした場合は1年以内に売却しなければ譲渡所得税の控除を受けることができず、納税額が増えてしまいます。
このようなリスクを抱えないためにも、選んではいけない不動産会社の特徴を押さえておくことが大切です。

査定価格が相場に対して高すぎる

査定価格が高いと売却価格も高くなり成約した際には売主の手残り額も増えますが、理由もなく相場よりも高い物件はそもそも買い手が見つかりにくいというリスクがあります。
しかし他社に比べて査定額が高いと「この会社なら高く売ってくれるかも」と勘違いすることもあり、わざと査定額を調整する不動産会社もいます。
不動産会社は物件が売れるまでの維持費を支払うことはなく、費用負担は売主です。
そのため査定価格が相場よりも高い会社は早期売却するつもりがないか販売開始後に価格変更の提案をする可能性があるため、注意点といえます。

物件の問題を隠そうとする

たとえば隣地と2m以上の高低差がある土地はガケ条例に抵触するため、家を建てるためには擁壁を組むなどの対策が必要です。
また前面道路が4m以下だとセットバックによって敷地の一部を道路として提供する必要があります。
このように土地は買い手が購入を躊躇するような問題を抱えているケースも多く、不動産会社が意図的に隠してしまうと大きなトラブルに発展する原因にもなりかねません。
契約内容によっては売主が責任を追及されることもあるため、誠実な販売活動をしてくれる会社に売却を依頼することが重要です。

契約の判断を急かそうとする

不動産会社は媒介契約を締結するだけでは利益を得られず、売買契約が締結されて仲介手数料を得ることができます。
そのため不動産会社によっては売主にとって条件が悪い内容でも契約を薦めることもあり、安易に条件を受け入れてしまい後悔する人も少なくありません。
買主が提示した条件に対し妥協が必要となるケースもありますが、納得できる妥協ラインを不動産会社と協議したうえであらかじめ決めておき、交渉することがポイントといえます。

まとめ

土地は戸建てやマンションと違い注文住宅を建てる目的で購入する人が多く、理想の家を建てられるかイメージしながら購入を検討します。
そのため土地の周辺環境や相場に詳しい不動産会社でなければ販売期間が長期化することもあり、業者選びが土地売却における重要なポイントといえます。
不動産会社を選ぶ際には複数の会社に査定を依頼するのが一般的ですが、会社の業績や口コミを事前に調べ、信頼できる会社を選定しておくこともおすすめです。
これ以外にも担当者の対応や返信スピードなどもチェックしておく必要があります。
こうした事前確認をすることで安心して任せられる会社を選定することができ、その結果販売を依頼することでトラブルなく売却することができるようになります。