どのような不動産でも売却することは簡単ではないですが、その中でも別荘地を売却し処分することは特別難しいとされています。
そのため、エリアや物件によっては不動産会社から販売を断れることもあり、処分できないケースもあります。
そこで、この記事では別荘が売れない理由と売るための方法について解説します。
別荘を所有しており、売却を検討している売主は参考にしてください。
別荘が売れにくい主な理由
別荘に限らず不動産売却に共通する「売れない理由」がありますが、基本的に買主のニーズに合っている物件であれば購入にいたることが多いです。
つまり、別荘が売れない場合は需要とミスマッチしている可能性が高いといえ、この章で解説するような理由が考えられます。
アクセスしずらい
形の良い土地や建築してから年数が浅い建物であっても、立地が悪ければ売却は難しくなります。
なぜなら、別荘は若い時期はセカンドハウスとして利用することが多いものの、老後は終の住まいにすることを検討するからです。
また、山奥にある別荘はスーパーや駅から離れていることがあり、不便で生活しにくいことからアクセスが困難な別荘は購入を見送られがちです。
維持費用と税金の負担がある
中古戸建ての場合は外壁の塗り替えや防水処理、防蟻処理といったメンテナンス費用がかかり、マンションの場合は管理費や修繕費を管理会社に支払うことになります。
このように、別荘を所有し続けている限り維持するための費用が発生してしまい、これ以外にも固定資産税や市街化区域であれば都市計画税が課税されます。
そのため、別荘の維持費の負担によって生活が圧迫されているオーナーも多いです。
相続時のトラブル
相続が発生した場合は別荘の相続人がオーナーとなりますが、誰が相続するのかトラブルになり、その結果買い手が見つかってもスムーズに売買契約できないことがあります。
たとえば法定相続人が2人いて別荘を共有名義で登記した場合、売却するためには2人の署名押印が必要となります。
しかし、相続トラブルが発生し片方が悪意を持って署名しないことになれば、どれだけ人気の物件であっても売却できないことになります。
このことからも、売却をスムーズに進めるためには相続や借金など、所有権を侵害する可能性があるトラブルは解消しておくことをおすすめします。
売れない別荘の処分法とは?
別荘が売れないまま放置していると維持費がかかり、出費がかさんでしまいます。
このようなリスクを避けるためにも、なるべく早く売ることがポイントです。
この章では売れない別荘の処分方法について解説します。
親族や知人への譲渡
親族や知人に譲渡する方法は最も手離れが良いことから、別荘が売りにくいと判明した時点で親族や知人に譲渡するのがポイントです。
また、残置物を撤去しない条件など親族や知人であれば条件も協議しやすいというメリットがあります。
このことからも、別荘の販売が長期化した場合の方法としておすすめです。
一方、親族や知人に譲渡する場合であっても、業者に仲介してもらうべきです。
なぜなら、個人間売買はトラブルが発生しやすく、登記や代金の支払いがスムーズにできないことも多いからです。
また、親族や知人への譲渡は譲渡所得税における税制上の特例が受けられないデメリットもあるため、注意が必要です。
地元密着型不動産会社との協業
郊外にある別荘を売却するためには、その地域での売却方法に関するノウハウを多く持っている会社に査定してもらい、販売を依頼するのがおすすめです。
こうすることでスムーズに購入希望者を見つけることができ、早期売却を狙うことができます。
さらに、地元不動産会社と自治体が共同運営している空き家バンクに登録することも、反響数を増やすポイントです。
また、不動産会社に販売を委託する媒介契約の中には複数の会社に同時依頼できる一般媒介契約という契約形態もあり、地元不動産会社と大手不動産会社に同時依頼することも可能です。
このように、別荘を売却するためのツールや相談窓口は全て利用することが重要です。
リフォームや一括査定を利用する
別荘の損傷が激しい場合は、リフォームしてから売却することも検討すべきです。
買主が購入を躊躇する理由の1つに、住むイメージが持てないという点があります。
そこで、リフォームすることで買主は修繕することなくそのまま住むことができ、販売意欲を高めることで成約の可能性を高くすることができます。
また、依頼する不動産会社を探す場合は一括査定サイトの利用がおすすめです。
この無料サービスはインターネット上で公開されており、1度の情報入力で複数の不動産会社に依頼することが可能です。
さらに、不動産会社を任意で選択できたり連絡手段や時間を指定できることから、多くの売主が利用しているサービスとなっています。
別荘を所有し続けるリスクとその対策
別荘を所有し続けると様々なリスクを抱えることになるため、リスクの内容と対策を知っておく必要があります。
この章で詳しく解説しますので、別荘を保有しているオーナーは参考にしてください。
税金や管理コストの削減方法
固定資産税や都市計画税といった税金や管理修繕費、駐車場代といった維持費は所有している間発生し続けます。
こうしたランニングコストを少しでも削減することで、別荘を保有する負担を減らすことができます。
たとえば使っていない駐車場は解約したり電気を解約するだけでも、トータルコストの削減は可能です。
このように、別荘を管理する上で本当に必要かどうかの見極めが管理コスト対策となります。
特定空き家への指定回避策
別荘を空き家として放置し続けた場合、「特定空き家」に指定されるリスクがあります。
国土交通省からは「特定空家等に対する措置」がガイドラインとして発行されており、倒壊の危険性がある家屋を特定空き家として指定することで、解体命令や管理の是正を自治体が促せるよう法整備されています。
さらに、固定資産税の税制優遇が撤廃されるなど、特定空き家の認定はオーナーにとって大きな負担となってしまいます。
このことからも、別荘を定期的に使用しメンテナンスしたり賃貸に出すなどの選択をすることで、特定空き家の指定を避けることができます。
別荘売却の成功のためのコツ
別荘をスムーズに売却するためには、不動産会社の選定方法と売却方法がポイントになります。
それぞれのポイントについて詳しく解説しますので、参考にしてください。
不動産会社選びのポイント
別荘は市街地で人気のマンションとは違い、別荘が持つ魅力をニーズと感じる買主をピンポイントで捜索する必要があります。
つまり、別荘の販売実績が不動産会社を選ぶ際の大きなポイントといえます。
また、不動産会社は大手であれば安心というわけではなく、別荘売却の経験が豊富な担当者に依頼することが重要です。
そのため、不動産会社を選ぶ際にはまず別荘売却の実績が多い不動産会社を選定し、その上で信頼できる担当者がいる会社に依頼することをおすすめします。
査定サイトやマッチングサイトを利用する
イエイやイエウールといった不動産一括査定サイトは、無料で査定を依頼できる上に不動産会社へ同時に査定依頼が可能となっており、さらに不動産会社を任意で選べることから事前に別荘売却に強い不動産会社かどうかを調べた上で依頼することができます。
また、空き家に特化した「空家ベース」というポータルサイトもあり、こちらもおすすめです。
これらのサイトをうまく活用することで、別荘売却の可能性を上げることができます。
【参考サイト:イエイ】
【参考サイト:イエウール】
【参考サイト:空家ベース】
買取サービスを利用する
仲介によって買主を探すのではなく、不動産会社に買取してもらう買取サービスも並行してすべきです。
こういった買取業者は前述した一括査定サイトでも捜索可能ですが、空き家買取に特化した「空き家パス」がおすすめです。
このサイトは全国の空き家買取に対応しており、即現金化してもらえるという特徴があります。
また、査定は無料であることから買取額を確認してから買取依頼すべきかを判断することができます。
そのため、仲介によって売却できなかった場合の保険として買取サービスの検討は重要といえます。
新たなトレンドとしての別荘需要
一般仲介や買取といった売却という処分方法だけでなく、自己所有や賃貸といった活用方法もあります。
この章では最近のトレンドとなっている別荘の活用方法について、解説します。
デュアルライフとワーケーションの増加
都会に住みながら週末は別荘で生活するデュアルライフや在宅ワークの拠点として別荘を利用するワーケーションという活用方法は、アフターコロナになって定着しつつある活用方法です。
このような方法は別荘の販売活動をしながら継続できるというメリットもあり、特定空き家対策としても有効です。
田舎暮らしに対する需要の高まり
在宅ワークの普及によって古民家暮らしが脚光を浴びるようになり、郊外の別荘も注目されるようになりました。
そこで、別荘を賃貸として活用し賃貸収入を得るという方法が人気です。
この場合は所有権を放棄することなく利益を得られる上に、人が住むことで室内がメンテナンスされるというメリットもあります。
ただし、この方法は自己所有や売却することになった場合にすぐ行動できないというデメリットがあることから、前述したデュアルライフやワーケーションとどちらが得になるのか協議することがポイントです。
まとめ
別荘は立地や築年数によって売れにくいという特徴があり、売却するためには工夫が必要となります。
また、売却する上でも別荘売却のノウハウを持っている不動産会社に依頼することがポイントとなることから、一括査定サイトを利用するなどして複数の不動産会社に査定依頼することが重要です。
ただし、どうしても売れない場合は自己所有や賃貸という方法によって有効活用できることから、最適な選択肢を常に検討することが大切です。