不動産の売却でかかる費用はこれを見れば大丈夫!

不動産を売ると必ず掛かる経費。
必要となる費用はどれほどになるでしょうか。
ここではどの費用がどのくらいかかるのかを解説していきます。

費用になるものの一覧

早速、費用を列挙していっきます。

売主負担として絶対必要となる費用

  • 抵当権抹消費用

普通は売主が負担する費用

  • 仲介手数料
  • 売買契約書印紙代(自分で保管する1通分)
  • 固定資産税・都市計画税の売主負担分

場合によっては売主負担が必要となる費用

  • 土地の境界確定費用
  • 土地測量費用

売り方によっては売主負担となる費用

  • 建物解体費用(更地にして売る場合)
  • 法律上違反となっている分を治癒する費用(建物を残して売る場合)

各費用の詳細

前述の費用では聞き慣れない単語もあったかと思いますが、それぞれを解説していきます。

抵当権抹消費用

  • 登録免許税  不動産の個数×1000円 (土地と建物は別の不動産とカウントします)
  • 司法書士費用 1〜2万円くらい

時間の流れで言うと売買の決済時になるのですが、不動産の引き渡しの時に売主が絶対負担することになる費用です。
しかし、不動産の売買金額に比べれば大きな金額ではありません。

売主がローンを借りた時に銀行がつけた金銭消費貸借の抵当権の抹消費用です。
次の所有者(買主)は、自分の銀行でお金を借りて抵当権をつけますから、前所有者のあなたの抵当権が残ったままでは納得しません。

そのため、通常は、売主が決済時に買主から受け取る代金から銀行に残債を支払い、銀行は今までの金銭消費貸借契約書を売主に返します。

そして解除証書または弁済証書を売主に渡します。
売主は買主側の司法書士に解除証書または弁済証書を渡し、その司法書士が売主の抵当権抹消を行います。
その司法書士は同時に買主側の抵当権を設定するわけですがこの費用は当然買主負担です。

なお、やはり同時に行う移転登記にかかる費用は買主側が負担しますので売主側は通常負担しません。

仲介手数料

仲介手数料は成功報酬です。

売買が成立しなければ支払いする必要はありません。
支払い時期は契約時に半額、決済時に半額などと決めることが多いようですが、決まりはありません。

売買される不動産の3%+6万円と消費税が”上限”です。
上限ですから、それ以下でもいいのです。
プロの世界では、売主側は仲介手数料を払わないという条件でビルの売却を依頼することがあります。

額が大きいため、仲介業者は買主側だけからもらっても十分採算が合う場合があるからです。
その他にはビルの売買では手数料率は話し合いで売買金額の1%や2%(と消費税)の場合もあります。
一般の自宅の売買などでは、自分で買主を見つけるのは難しいので最初から仲介手数料を満額(3%+6万円と消費税)を支払う前提にするケースが多いせざるを得ないかとも思います。

でも一応、希望を最初に仲介会社と条件を話してみることもありです。
ただ、事実上のマイナス要素としては、仲介手数料を値切った場合、売買の順番を後回しにされるかもしれない心配があります。

売主の不動産の魅力、仲介業者のお腹の空き具合などによって決めればよいと思います。

売買契約書印紙代(1通分)

売買契約書に貼る印紙代です。
平成32年3月31日までの間に作成されるものは軽減措置がされています。
売買契約書は通常2通作りますから、買主と売主でそれぞれ自分が保管する分を1通づつ負担します。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え 100万円以下のもの1千円500円
100万円を超え 500万円以下のもの2千円1千円
500万円を超え1千万円以下のもの1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの2万円1万円
5千万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

(国税庁 ホームページより)

固定資産税・都市計画税の売主負担分

固定資産税・都市計画税は1月1日時点の所有者に全額請求されます。
そのため、一括で支払う場合は売主(支払い時の所有者)が1年分を支払うことになります。

そこで、例えば7月1日が売買の日だとすると売主は1月1日から6月30日までの分を負担することになります。
それまでに売主が1年分を全額納税していれば、買主から7月1日以降の固定資産税・都市計画税を受け取ります。

逆に納税前ですと、買主に売主は自分の負担すべき分を支払わないといけません。
その後、買主は1年分を納税するわけです。

土地の境界確定費用・測量費用

すでに隣地との境界が確定している場合には不要となる費用です。

もし、境界が未確定の場合は境界を確定する費用が必要となります。
不動産は境界が確定していないと買主にとっては後で面積が変わる可能性がありますから、心配です。
ですから、売主が土地の境界を全ての隣地所有者と合意した上で売買する必要があります。

作業としては、土地家屋調査士に依頼して、図面を作成してもらい、隣地の所有者と話し合って境界標を確認し、後に図面に印鑑を押してもらいます。

境界標がなくなっている場合は復元します。
この費用は土地の広さや難易度によっても異なるので一概には言えませんが、30万円以上かかることが多いでしょう。

境界が確定すれば、土地家屋調査士が測量をして正確な土地の面積を算出して確定測量図を作成します。登記簿の面積は正確でない場合が多いため、確定測量図に基づいて売買代金を精算することが一般的です。

マンションを売る場合は、通常は境界が確定した土地上にマンションが建てられているはずですから、これらの費用は不要でしょう。

建物解体費用(更地にして売る場合)

売主側の条件で、現状有姿で売る場合(建物が立っているままで売る場合)はこの費用はかかりません。

一方で、収益用不動産でテナントがいる場合や買主が現存している建物を利用し続ける場合は別ですが、不動産は古い建物が建ててあるよりも更地の方が売りやすいです。

そのため、建物を解体して更地にしてから売る場合は解体費がかかります。

建物の解体は建物が密集している場所では隣地に迷惑をかけないように敷地の内側にたたみこむように解体する技術や廃材の処分費なども必要で、それなりの費用がかかります。

鉄筋コンクリートの建物の解体の場合は、地上部分だけを解体するか、地下部分も解体するか、杭を残すかどうかも判断して解体作業を依頼することになります。

法律上や条例上違反となっている分を治癒する費用(建物を残して売る場合)

土地と共に建物を売る場合です。
建物が木造の一般の住宅ではあまり起きないとは思いますが、鉄筋コンクリート造の建物を売買する場合でかかるかもしれない費用です。

本来あってはいけないのですが、建物で建築基準法や消防法などに違反している建物を売却する場合に問題となります。

買主がプロの場合、デューデリジェンスという過程で調べるとこれらの違法状態が判明します。

特に、防火シャッターが故障しているとか、避難路が確保できていないとか消防法上の問題が残っている場合は人命に関わりますから買主としては許容できません。
売買時までに売主負担で治癒する必要があります。

これらは本来、売主が所有している期間中は、管理上建物を適法な状態に保つ義務があり、売主が自分で管理費を負担すべきだったわけですから売主負担となるわけです。

その他、建築基準法違反や条例に違反している等の場合も治癒すべき場合があります。
例えば許可を取得していない広告が設置されているとか、塀の高さが法定よりも高いとか、本来駐車場の場所に無許可で倉庫を増築していたとか、さまざまです。

いつまでに治癒すべきかというと売買時までが普通ですが、時間的に間に合わない場合、これは買主の判断ですが、ポストクロージング事項(引き渡しの後の事項)として売買後に治癒が行われることもあります。

ただし費用は、買主としては売主負担を主張してくるでしょう。
その他、建物にアスベストやPCBがある場合、土地に土壌汚染などがある場合は大きな問題となりますが、一般の住宅の売買ではまずそのような問題は起きないでしょう。