不動産を売却する上でマンションは比較的売却しやすく、一戸建ては難しいと言われます。
その理由として設備の劣化や間取り、立地の悪さが考えられますが、スムーズに売却する方法もあります。
そこで、この記事では戸建てを売却する上で重要なポイントについて、解説します。

戸建て売却が難しい主な原因

戸建てを売却する上で売主が苦戦する原因として、次のような理由が考えられます。
そのため、売り出し価格を決め販売活動をスタートする前にチェックしておくことをおすすめします。

エリアの需要と売却の関係性

そもそも不動産売却において、エリアと物件の相場は密接に関係していることを知っておく必要があります。
たとえば街の需要が高く人気がある場合は、中古住宅であってもすぐに購入希望者が現れます。
また、この場合は売却方法が土地や建物のどちらであっても、売却価格が相場よりも大きく乖離してなければ早期売却できる可能性は高いです。
つまり、不動産を苦労することなく売却するためには、まずエリアについて理解することが大切といえます。

建物の築年数が与える影響

中古の建物が売れない理由の1つとして、経年劣化があります。
中古を検討する買主の中には、築年数が古い家は安心して住めるかという点を気にする人も多いです。
また、目に見える部分であればリフォームで対応できるものの、重要な躯体や木部の劣化は対策が難しいといえます。
そのため、築年数が古く建物の状態が悪い不動産は、買い手からするとリスクのある不動産売買として捉えられることがあります。

間取りの個性が売却に及ぼす影響

売却する戸建て住宅が個性ある間取りだった場合、買主から評価されずに販売が長期化するリスクがあります。
そして、こうしたリスクは長年住んでいる売主は気づきにくく不動産会社から査定を受けた時点で初めて気づくことも多いです。
そのため、一般的な間取りでない場合は築年数に限らず価値を低く見られてしまうケースがあることを知っておくべきです。

市場価格とのバランスをどう取るか

長年住んだマイホームは思い入れが強いことから、なるべく高く売りたいと考える売主は多いです。
しかし、買主側からすると市場価格と価値が見合っているかどうかが重要なポイントとなることから、間取りや立地次第では相場よりも値下げする必要もあります。
このことからも、仲介によって戸建てを売却する際には価格の設定を客観的に検討するのが、成功のコツとなります。
そのためにも、不動産会社の担当者に適切な売却価格について相談すべきといえます。

売れない戸建て、どう動く?

戸建てを売却する流れとして、買い手に物件を内覧してもらい魅力を感じてもらうようアピールすることが重要です。
つまり、戸建てが売れない場合の対策としても、内覧者が少ないのか内覧があっても成約にいたらないのかで対策内容が異なることになります。
そこで、この章では売れない戸建ての対策方法について解説します。

内覧者が少ない時の原因分析と改善策

エリアや築年数を踏まえて適切な価格で販売しているにも関わらず内覧者が少ない場合は、そもそも需要がない立地の可能性があります。
また、築年数が古すぎると買主の検索から除外されることもあり、このような状態であれば不動産会社に買取してもらうのが改善策として有効です。
買取であれば立地に関係なく売却を成立させることができ、契約から引き渡しまでスピーディーに進めることができます。
そのため、内覧がない物件は不動産会社に買取の相談をするのがセオリーです。
ただし、買取は仲介よりも手残り額が少なくなることが多いため、注意が必要です。

内覧はあるが売却に至らない場合の解決策

内覧を申し込みする人は一般的に購入を検討している買い手となるため、内覧が多ければ売却できるはずです。
そのため、戸建ての良い部分をしっかりPRできるよう準備をすることで成約の可能性を高めることができます。
たとえば内覧の対応を不動産会社に任せるのではなく売主として同席したり、リビングをキレイに着飾るホームステージングをするなどの工夫によって買い手が決まることもあります。
ただし、このような工夫をしたにも関わらず売却できない場合は、公開されている情報と実際の物件に差がある可能性を疑うべきです。
こうした情報の乖離がある場合は内覧によって購入意欲が高まらず、見送りになることが多いです。
つまり、内覧者が多いものの売却にいたらない場合は、公開されている画像やPRポイントを見直すことがポイントといえます。

売却を成功に導くポイント

売却を成功させるためには、タイミングと不動産会社の選び方が重要なポイントになります。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。

売却のタイミングと戦略的価格設定

不動産の売却を成功させるコツは、価格をなるべく安く抑えることです。
しかし、売主の事情によって価格を高く設定するケースも多く、特に住宅ローンが残っている場合などは相場よりも高くなる傾向にあります。
また、不動産を売却する際には税金がかかってしまい、思ったり手残り額が少なくなることも多いです。
このような問題を解決するために、住宅ローンを完済してから売却したり国税庁が公開している特例を利用するのがおすすめです。
住宅ローンを完済することで相場と合致した価格で販売することができ、買主も価格の違和感を感じることなく購入できます。
さらに、税金については「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用することで、居住用財産であれば課税額から3,000万円を控除することができ、大きな節税となります。
こうした工夫や価格設定によって戸建ての売却を成功させられることから、不動産会社との売却前協議が重要なポイントになります。

不動産会社の選び方とその重要性

戸建てを売却するためには不動産会社と媒介契約を締結することになりますが、信頼できる不動産会社を選ぶことで売却の成功率は飛躍的に向上します。
また、一括査定サイトのすまいステップが公開しているアンケート結果によると、1社に販売を任せる専属専任媒介契約と専任媒介契約を選択した売主は全体の55%近くになっていることが分かります。
つまり、信頼できる不動産会社を1社見つけることが重要となりますが、選び方のコツとして担当者が信頼できるかどうかというチェックポイントがあります。
不動産仲介業者において大手であることのメリットは少なく、小さな会社でも担当者が信頼できれば依頼すべきです。
なぜなら、販売を依頼された物件は大手含めて全ての不動産会社に公開されることになるからです。
一方、大手であっても信頼できない担当者に任せてしまうと、ストレスを抱える売却になってしまいます。
こうした失敗を防ぐためにも、不動産会社は複数の中から最も信頼できる担当者がいる会社を選択することが重要です。

売却が困難な場合の代替案

どうしても売却できない場合は、次の方法を試してみるのがおすすめです。

不動産買取のメリットと注意点

市場価値や築年数を考慮した販売価格に設定し、最適な広告戦略に基づいた販売活動であっても売れない場合は、不動産買取を選択するのがセオリーです。
この方法であれば不動産会社が買主となることから販売期間がなく、買取額に納得さえすれば契約まで進めることができます。
また、仲介をしないことから仲介手数料が発生せず、その分の費用が手残り額に追加されるというメリットもあります。
一方、買取額は仲介による販売価格よりも低くなるというデメリットがあります。
なぜなら、不動産会社は戸建てを買取した後に諸費用を支払い、利益を含めて再販売することになりますが、再販売価格は相場に近い価格となるからです。
つまり、買取額は必然的に相場よりも安くなることになります。
このことからも、買取を選択する際には買取額と手残り額とのバランスに注意すべきです。

リフォームや解体撤去の是非

リフォームとして資産価値を高めた上で売却するという方法もありますが、あまりおすすめできません。
なぜなら、そもそも中古戸建てを検討している人はリフォームありきで予算を確保しており、どうせリフォームするのであれば自分好みにカスタマイズしたいと考えるからです。
その点、解体撤去し土地として販売する方法は中古住宅の販売と並行することで販売の間口が広がり、売却のチャンスを増やすことができます。
そのため、販売が長期化している築年数の古い戸建ては、解体撤去してから販売することも検討すべきといえます。

まとめ

戸建てはマンション売却に比べて難易度が高く、長期間売れていない戸建ても多いです。
しかし、原因を究明し対策することで早期売却することも可能であることから、エリアや築年数と価格がミスマッチしていないか等のチェックが重要なポイントとなります。
そして、適切な販売価格と売却プランに基づいて販売活動をすることで、売りにくい戸建てであっても売却できる可能性を高めることができます。