不動産売買のリスクを回避するには?

多くの方にとって不動産の売却をする機会はなかなかありません。
でも不動産の売却はリスクが一杯です。
不動産売却のときの注意点を知った上でスムーズに売却を行いましょう。!

スポンサーリンク

注意すべき事の例とその対策

気をつけようにも何を注意すべきか分からないという方も多いのではないでしょうか?
ケース別に注意すべきことを見ていきましょう。

仲介手数料の支払いタイミング

仲介手数料は成功報酬です。
この支払タイミングが、完全に物件の所有権が移転した後に100%支払うか、中間金として契約後に50%支払うかの2パターンのケースが多いです。

実務上、よくあるのは売買契約時に中間金として半分、引き渡し決済時に残り半分を支払うというものです。

しかし、売買契約を締結したけれど、何らかの理由で引き渡し時期が伸びたり買主にローンがつかなかったりした場合、契約が解除されても支払った金額が戻ってこないリスクがあります。
最後の引き渡しが行われなかった場合は支払い済みの仲介手数料を返還してもらえるのかよく確認しましょう。

対策

そもそも成功報酬なのですから、仲介手数料は最後の引き渡し決済時に全額支払うことで良いのです。
最後に全額支払いでどうかと仲介業者に言ってみましょう。
売却代金が支払われればその中から支払えばいいので売主にとって資金的にも負担がありません。

告知事項

売主としては言いたくない何か住宅に欠陥がある事項で、しかも買主が聞いたとすれ ば 「買わない 」「代金を下げてくれ」などと問題にすると考えられる重要な事項についても告知する必要が売主にはあるということです。これを告知義務といいます。

宅地建物取引業法47条1号ニは 「・・・宅地建物取引業者の相手方(買主)等の 、 判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」について、宅建業者に告知義務を 負わせています。

しかし、売主からすると、この告知によって買主が限定されてしまう(買い手が減るため)というリスクがあります。

心理的瑕疵とは

特に契約の時に気にするべきは、心理的な瑕疵です。
瑕疵とは本来は傷と言う意味で、法律用語で欠陥、欠点と言う意味です。

これは基準が曖昧なので困るのですが、この項のはじめに書いたように、買主が「その事(施設)がある事が契約前から分かっていたら、契約(購入)をしなかった」という事項を売主は事前に話すべきだと言うルールですから、とにかく買主がどう感じるのか、というのが基準です。

例えば、自殺、殺人などの事件があった家屋の売却。
「刑務所」などの嫌悪施設。「指定暴力団の事務所」が近くにあるなど。

では、幼稚園の設立計画はどうなのか、最近では報道されている南青山児童相談所の計画のようなケースはどうなのか。

私自身は、自分が買主の場合でも幼稚園や児童相談所は売買を取りやめるほどには全く気になりません。
でも南青山では大変にもめています。

このような時は、あくまで買主がどう感じるかで判定せよというものです。
南青山のケースではことの是非はともかく、告知事項にあたると思います。

対策

細かなことでも仲介の担当者に伝え、告知漏れのないようにしましょう。
前述の心理的瑕疵のこともですが、例えば「給湯器が老朽化していてそろそろ交換が必要かもしれない」とか「隣に住んでいる方は騒音に敏感な人」など。
些細なことでも担当者には伝えておき、判断を仰ぎましょう。

売却の期限が決まっている場合

不動産を売り急ぐと価格が下がってしまいます。
そんなことは当たり前だ、と思われるかもしれませんが、不動産は流動性が低い(すぐには売れない)ため、特に気をつけましょう。

どなたにとっても不動産ほど大きいものを売るということは何か大きな理由があるはずです。
理由はさまざまです。
親の土地を相続したが利用するつもりはない、今の自宅を売って別の場所に引っ越したい、急に大きな資金が必要になったなど。

すぐに売れるだろうとのんきに構えていると、居住用財産譲渡の3000万円控除※1や、相続した空き家の譲渡所得の3000万円控除※2などの税制優遇の措置が利用できる期限が目前に迫るなど、あとで慌てて投げ売りすることになるリスクがあります。
※1 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

※2 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

対策

不動産は売りに出してから半年から1年くらいかかると思って、不動産の売却は早めに取り組みましょう。

媒介契約の種類

仲介会社に買い手を探してもらう訳ですが、媒介契約は3種類あります。
それは、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約です。

一般媒介契約複数の業者に同時に仲介を依頼できます。売主が自分で買主を探すことも可能
専任媒介契約契約期間中(最大3ヶ月)に仲介を依頼できる業者は1社のみ。売主が自分で買主を探すことも可能
専属専任媒介契約契約期間中(最大3ヶ月)に仲介を依頼できる業者は1社のみ。かつ自分で買主を探すことはできない

専属専任は毎週、専任は2週に一度、仲介業者に「文書で営業活動の報告」義務があります。

一般媒介

一般媒介契約は、複数の仲介業者が扱いますので、仲介業者側は売る努力をしても全く報われない可能性がありますから、本気で取り組んでくれないかもしれないとリスクがあるように思えます。

専任媒介契約

基本的に、専任媒介契約は仲介業者が絶対に収益が確保できますから、安心して熱心に売却に取り組むように思えます。
ところが、売主にとってのリスクは、仲介業者が両手仲介を狙って、買い手の情報をブロックすることなのです。
というのは、仲介業者は売りと買いの両方を手がけられれば、物件価格の3%+6万円(消費税別)の「倍」の収益をあげられます。
そのため、自分が買いも手がけようとして、買い情報を曖昧に扱う(極端な場合ブロックする)恐れがあります。
良心的な仲介会社はそのようなことがないのですが、そうではない仲介会社もあります。不健全ではありますが、日本ではこの両手という慣習があるための懸念があります。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約も専任媒介契約と大した違いはありません。売主が直に買主を見つけることはそんなに多くないでしょうから。

違法状態の治癒

売却に際しては、違法状態を治癒(違法でない状態に修繕を行ったりすること)するために支出が発生するリスクがあります。

例えば、駐車場に小屋を建てて容積率オーバーになっているなどの場合は、多少費用がかかろうとも売主は自分の負担で適法な状態に直してから売却すべきです。

「あくまで現状有姿で譲渡だ」と言い張りたい場合、気持ちはわかりますが、それは適法な範囲内の話です。
買主候補から行政に通報されると自力で直さざるを得なくなってしまいます。

もし、買主が違法状態のまま購入したら、その違法状態の解消は買主側の負担になりますから通常は承知するはずがありません。
売主はあくまで法の範囲内で売買すべきでしょう。

隣地敷地に自分の建物の一部、コンクリートなどが越境している場合などでは、すぐに直せるものは治しますが、今行うと工事費など多大な費用がかかる場合もあります。

その時は、通常は隣地の所有者と話をして「将来、建て替えの時などに直します」との内容の覚書を締結するケースが多いです。

被越境の場合も覚書締結は同じように行います。

瑕疵担保責任

中古住宅の売買が完了して買主が住み始めた時に発覚した隠れた瑕疵があった場合、費用負担が発生します。
買主も気がつかず告知していない、買主も知らなかった場合です。

この時、売主は買主に損害賠償されてしまいます。これが瑕疵担保のリスクです。

民法では、買主が隠れた瑕疵を知ってから1年以内に申し出れば、売主は瑕疵担保責任を負わなければならないとしています。

しかし、買主が隠れた瑕疵を「知る」ときがずっと後だったら?

対策

こういった売主が負うリスクを避けるか、または最小にするためには次のような方法が考えられます。
これらを組み合わせることもありえます。

①売主は瑕疵担保責任は負わないと売買契約書に特約で明記する

不動産会社は2年以上の瑕疵担保責任を負わなければなりませんが、一般の売主はその義務がありません。そのため、特約で負担は負わないとすることも法律上は可能です。
これは、明らかに売主に有利ですが、買主は古家を解体して建て替えるつもりでなければ納得できないケースが多いでしょう。

②売買後、短期間(例えば数ヶ月)なら瑕疵担保責任を負う

これが最も採用される一般的な方式です。

③既存住宅売買瑕疵保険に買主が加入する

売主が加入することが原則ですが、買主が加入することも可能です。そのときは売主は検査に応じることになるでしょう。

④売買仲介業者独自の保証をつける

売買仲介業者がサービスで保証をつける場合もあります。
ただ、買主にとっては、既存住宅売買瑕疵保険のように税制優遇などの措置はないことに気をつける必要があります。

⑤既存住宅売買瑕疵保険に売主が加入する

この保険は国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任法人が取り扱っている任意保険で、引き渡し以降に瑕疵が発見された場合に、買主に修理費用などの費用が保険金として支払われる保険です。

対象は中古の一戸建て住宅も、マンションの1室もあります。
住宅瑕疵担保責任法人は、加入の申請後、検査機関の検査を経て、1年または5年の保証を行います。

加入のメリット
  1. 売主は瑕疵担保を請求されることがなくなり安心
  2. 買主側も検査を経た上で保証された住宅を購入するので、まず瑕疵はないと安心できる。仮に、瑕疵があった場合、その修理費用など(調査費用・修理工事中の引っ越し費用・仮住まい費用も含 まれる)が保険金として支払われる。
  3. 買主側に税制優遇などの多大なメリットがある

①税制優遇措置

  • 住宅ローン控除
  • 居住用財産の買換えの特例
  • 住宅取得資金の贈与の特例
  • 登録免許税の特例
  • 不動産取得税の特例

②その他
すまい給付金(最大30万円、消費税10%の場合は最大50万円)の受給。(ただし、収入要件あり)

デメリット
  1. 売買の前に既存住宅売買瑕疵保険の加入前の検査の期間を要する。
    売主が、売却する既存住宅の検査と保証を検査機関に申し込みをすると検査機関は検査をします。検査対象は、基礎・土台・横架材・材料などの構造耐力上主要な部分、屋根・開口部・外壁などの雨水を侵入を防止する部分を中心とした箇所。給排水管路は特約で対象とすることになります。
  2. 売主にとって検査結果によっては、修繕すべき部分が発見されると売買前に修繕工事を行わなければならない(先に見つかるか後で見つかるかの違いと考えればデメリットと言えないかもしれません)。
  3. 売主にとって、既存住宅売買瑕疵保険の加入費用(検査料金・保証料金)がかかる

住宅の広さによっても異なりますが、検査料金は数万円、保証料金は1年保証と5年保証で更に異なりますが、数万円〜10万円前後というところですから、合計で数万円から10数万程度となります。(詳細は住宅瑕疵担保責任保険法人や検査機関にご確認ください)

条件

1981年以降に建築確認を受けた住宅であるか、それ以前に建築確認を受けた住宅であれば耐震基準適合証明書を提出する必要があります。
耐震力が不足していれば、耐震工事の必要もあるでしょう。